小幌駅

北海道 JR室蘭本線
2006年3月10日 訪問。
2006年12月30日 再訪。

解説

秘境駅訪問家の牛山氏が認定する、日本一の秘境駅として非常に名高い駅である。
ホームの両隣をトンネルに挟まれた絶壁の中にある駅で、まさに別世界にでもいるかのような錯覚を感じられる。
国道が上空を走っており時折トラックの音が聞こえたりするが、辿り着く道は一切存在しない。
国道から歩いて到達できた人もいるそうだが、かなり熟練された登山知識などがない限り遭難してしまう恐れもある為、普通の人であれば間違っても真似をするべきではない。
よって列車でしか行くことができず、駅周辺に民家も存在しないというまさに駅としての常識を覆す駅である。
ただ、駅からは海岸まで通じる道があり、夏になると釣り人が極稀に下車することがあるそうだ。
それを意識してか、海岸の近くには密漁禁止を訴える看板がいくつも見受けられた。
逆に言えば、それぐらいしか利用価値のない駅である、ということになる。
あとは筆者のような物好きが時折訪れる程度だ。

そんな駅だが、かつては駅待合室に「仙人様」という愛称のついたホームレスが住んでいることも有名だった。
しかし2007年頃に亡くなってしまい、現在待合室は撤去されている。
話によれば、約20年もの間この待合室を利用して生活していたとのことである。
筆者は初訪問時に会ったことがあり、小汚い格好ではあったがとても優しそうな感じの人で、暫く色々な話をしていたことを覚えている。
慣れた手つきでストーブに薪を入れる姿などはまるで別の時代の人のようで、ここで生活するという凄まじさを感じた。

さて、この駅は利用価値が皆無であることから2015年10月に廃止される旨がJR北海道より告知されていた。
住民もおらず、駅としての存在意義がなくなったのだから廃止は当然であり、受け入れざるを得ない現実だ。
その為、ちょうどこの年の夏に廃線巡りを予定していた為、8月のプランを少し弄りこの駅への見納めにやってきた。
まず前日に2つ先にある「大岸駅」で駅寝をし、朝の上り1番列車でこの駅に降り立った。
しかし筆者はここで衝撃の光景を目の当たりにする。
なんと下車したのは筆者の他に5人もいた。しかもそのうち1人は女性であった。
まぁ、女性とはいっても夫婦での下車で、年齢的には登山家という感じで筆者のような若者ではなかったが。
朝1番の列車でこの下車数というのは驚きを隠せなかった。
そして帰りの列車ではなんと20人もの人々が一斉に下車し、中には親子で下車した人もいた。
廃止を惜しむ人がこれ程までに多くいるとは…。訪れるのは筆者のような物好きだけではないようだ。

更にこの駅の廃止をめぐり、地元豊浦町の人々は駅を存続させる為に維持費を負担する旨を伝えてきた。
これによって廃止は先送りとなり、2016年の初めに再びこの駅で下車することに成功した。
これはもう奇跡と言っても過言ではないが、地元としては貴重な日本一をなんとか残したいと考えているとのこと。
こんな微々たる観光資源で町おこしができるとは到底思えないのだが…。
もちろん廃止が先送りになったというだけで、今後も廃止される可能性は十分あるので油断はできないが、廃止を少しでも先送りにできた地元の勇姿は本当に強く称えたい。
駅を残すのは地元の人達の役目なので、地元の人がそこまで頑張るなら筆者も微力ながら応援してあげたいと思う。

この駅は相対式であるが、上下の線路は割と離れており、踏切を渡りきるには時間がかかる。
特急列車は物凄いスピードで通過するうえ、両隣をトンネルに挟まれてる地形上急停車はできない。
その為、列車接近時に線路を渡れば死亡事故は免れられないと言える。
列車接近時は警報が鳴り響くので誤って進入することはないと思われるが、警報機が鳴り出したら絶対に線路を横断しないこと。
ホーム。
駅名標。
時刻表。
ホーム、夜間撮影。
「仙人様」が住むと言われていた待合室。現在は撤去されている。
踏切。警報機はちゃんとあるが、雪に埋もれて道が判別不能なことも多く、渡るのは非常にスリルがある。
海岸へと続く道。
駅前の様子。
この遥か彼方に国道があるが、そこに辿り着く道はない。

2015年1月8日 再訪しました。

ホーム。
時刻表、下り。
時刻表、上り。
密漁禁止を訴える看板。
同じく看板。
そして辿り着いた海岸。写真では表現できない幻想的な世界が広がっていた。
海岸から長万部側を望む。
海岸から苫小牧側を望む。
海岸から駅を望む。当然ここからは確認できない。

2015年8月14日 再訪しました。

雪のない夏のホーム。
駅名標。
夏の駅全景。
夏の駅全景。
夏の駅全景。
ホームのすぐ脇に迫るトンネル。苫小牧方面。
長万部方面。
下りホームの奥にある保線小屋のような建物。待合室ではなく、中には入れない。
上りホーム側に便所があった。
上りホーム側の建物。こちらも中には入れない。
時刻表、上り。
時刻表、下り。
駅前の道。草木が生い茂り正直冬よりおっかないが、冬と違い一応道が判別できる。
更に進んだ先。こんな道が延々と続く。
途中こんな看板を発見した。時間的にも体力的にも行くことは許されなかった。
看板手前の分岐。右側を進むと海岸に出られる。
再び海岸に降り立つことができた。
長万部側。
苫小牧側。
駅側。

2016年1月3日 再訪しました。

下りホーム付近の保線小屋の下に駅ノートを見つけた。
中には記念入場券のレプリカがあった。
中身はこんな感じ。
三脚使用の自粛を訴える貼り紙があった。